購買や調達の仕事をしていると、「RoHS対応ですか?」という言葉が出てくる。
RoHSとは何か。誰が決めたのか。何が規制されていて、なぜ注意が必要なのか。まずは実務で関わりやすいところだけ整理する。
RoHSとは
RoHS(ローズ)は、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限するEUのルール。
正式にはRestriction of Hazardous Substances。人の健康や環境へのリスクを減らし、電気・電子機器をリサイクルしやすくする目的がある。
誰が決めたのか
EU(欧州連合)のルール。現在のベースはDirective 2011/65/EU。
もともとRoHSによる規制は2003年から始まり、現在の指令は2011年に制定された。その後も対象物質や例外規定などは更新されている。
現在は10物質
RoHSで現在制限されているのは次の10物質。
金属系
- 鉛(Lead)
- 水銀(Mercury)
- カドミウム(Cadmium)
- 六価クロム(Hexavalent chromium)
臭素系難燃剤
- PBB(Polybrominated biphenyls)
- PBDE(Polybrominated diphenyl ethers)
フタル酸系
- DEHP
- BBP
- DBP
- DIBP
覚えるなら、4 + 2 + 4で分けると整理しやすい。
それぞれ、なぜ注意するのか
| 物質 | ざっくり何が問題か |
|---|---|
| 鉛 | 神経系などへの悪影響が問題になる |
| 水銀 | 神経系への影響や環境中での蓄積が問題になる |
| カドミウム | 腎臓などへの毒性が問題になる |
| 六価クロム | 発がん性などが問題になる |
| PBB / PBDE | 難燃剤。環境中に残りやすいことなどが問題になる |
| DEHP / BBP / DBP / DIBP | 可塑剤。生殖・発達などへの影響が懸念される |
化学物質ごとの細かい毒性を全部覚えるより、まずは「人や環境への影響が大きいので、電気・電子機器での使用量が制限されている」と押さえる。
「使ったら即NG」ではない
RoHSは単純に「少しでも入っていたらダメ」ではない。
均質材料中の最大許容濃度が決められており、基本は0.1%。カドミウムだけは0.01%。用途によって適用除外もある。
昔は6物質、今は10物質
もともとのRoHSで押さえる対象は6物質だった。
- 鉛
- 水銀
- カドミウム
- 六価クロム
- PBB
- PBDE
その後、2015年の改正でDEHP、BBP、DBP、DIBPの4物質が追加され、現在は10物質。追加4物質の制限は原則2019年から適用された。
購買ではどこで関係する?
購買では化学の知識そのものより、部品・材料・サプライヤーが要求を満たしているかという管理で関わることが多い。
- この部品はRoHS対応か
- 含有化学物質の証明書はあるか
- 図面や仕様書でRoHS対応が要求されているか
- 材料変更・サプライヤー変更後も条件を満たすか
- 購入先から必要な証明を回収できるか
つまり、価格と納期だけ見て終わりではない。買ってよいものかを確認するのも購買の仕事になる。
一緒に出てきやすい言葉
REACH
EUの化学物質規制。RoHSと並んでサプライヤーへの確認で出てくることがある。
含有化学物質調査
部品や材料にどんな化学物質が含まれているかをサプライヤーへ確認する。
適合証明書
RoHS要求を満たしていることを確認するために、サプライヤーから提出してもらう資料の一つ。
実務メモ
- RoHSはEUのルールだが、EU向け製品を扱う日本企業でも普通に関係する
- 「RoHS対応品です」だけでなく、顧客・図面・社内基準で何を要求しているか確認する
- 対象物質・濃度だけでなく、適用除外の有無もある
- サプライヤー変更時は価格だけでなく、規制対応の継続確認も必要
まとめ
- RoHS = 電気・電子機器の有害物質規制
- EUが定めたルール
- 現在は10物質
- 昔の6物質にフタル酸系4物質が追加された
- 購買では部品・材料・サプライヤーの適合確認に関係する
各物質については、次に「何に使われることがあるか」「なぜ注意するのか」を図で整理する。

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