購買ボキャブラリー|CPPで学ぶ生産・品質・調達の基本用語

ライン生産では工程を分けて4人が流れ作業し、セル生産では一人または少人数が複数工程を担当する鉛筆画の比較図 購買ボキャブラリー

CPPの勉強で出てくる言葉を、「何をするもの?」「例えば?」「どう覚える?」の3つで整理しました。まずは短いイメージをつかみ、細かい条件はテキストで確認しましょう。

生産、品質・改善、設計、調達・物流の順にまとめています。例と覚え方は、理解を助けるために作ったものです。試験問題の転載ではありません。

1.生産の流れと設備

目標サイクルタイム|1個あたりに使える時間

必要な数量を時間内に作るための、1個あたりの目標時間です。必要量からペースを決める考え方はタクトタイムにつながります。

例:実働時間420分で210個必要なら、420÷210=2分/個。休憩を除くなど、問題文の時間の定義を確認します。

覚え方:使える時間を、必要な個数で分ける。

実際に1個を作る時間(実測のサイクルタイム)と、需要から決めた目標は分けて考えます。

DBR|一番遅い工程に歩調を合わせる

制約となる工程を中心に、生産の流れを整える方法。Dはドラム、Bはバッファ、Rはロープです。

例:検査が1時間に10個しか処理できないなら、前工程だけ20個作り続けても、待ちが積み上がります。検査のペースに合わせ、検査が止まらないための余裕も用意します。

覚え方:太鼓でペース、余裕で守る、ロープで投入をつなぐ。

ジョブショップ|仕事ごとに通る工程が違う

旋盤、穴あけ、研磨など、同種の設備をまとめて配置し、製品ごとに必要な工程を通す生産方式です。

例:製品Aは旋盤→研磨、製品Bは穴あけ→旋盤。注文によってルートが変わります。

覚え方:仕事ごとに、設備を巡る。

多品種・少量に対応しやすい一方、順番や進捗の管理が複雑になりやすい方式です。

設備ロス|止まる・遅い・良品にならない

設備の能力を使い切れない原因を、大きく停止ロス・性能ロス・不良に関するロスで捉えます。細かな分類は教材の体系に合わせます。

例:故障や段取りで止まる/短い停止や空転、速度低下で予定より作れない/不良や手直しで良品が減る。

覚え方:止まる、遅い、ダメになる。

段取り・調整と空転・小停止|止まる理由で区別

段取り・調整は、次の製品を作るための切替や準備。空転・小停止は、生産中の短いトラブルや、動いていても製品を作れていない状態です。

例:金型を替えて位置を合わせる=段取り・調整。部品が引っ掛かり、取り除くとすぐ復帰=小停止。部品が来ず機械だけ動く=空転。

覚え方:切替の準備は段取り。途中のつまずきは小停止。

「何分なら小停止」という境界は、設備や管理ルールによって異なります。短い停止でも、積み重なると大きなロスです。

生産方式の違いは、セル生産とライン生産の比較でも図で整理しています。

2.品質と改善

管理図|いつもと違う変化を見つける

データを時間の順に並べ、管理限界などを使って工程の状態を確認する図です。

例:部品の寸法を毎日記録し、点が管理限界を外れたり、偏りが続いたりしていないかを見ます。

覚え方:時間に沿って、異常のサインを見る。

管理限界は工程のばらつきを判断する線。図面の許容範囲である規格限界とは別です。

チェックシート|事実を記録して集める

不良の種類や発生回数などを、記録しやすい形にした用紙です。

例:傷、汚れ、寸法不良が起きるたびに印を付け、何が多いかを集計します。

覚え方:シートは記録。リストは確認。

チェックシートには点検用などもあります。データ収集が目的か、確認漏れ防止が目的かを見ると整理しやすくなります。

PDCA|実行して、確かめて、直す

Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の循環です。

例:納期遅延を減らす計画を立て、納期確認を運用し、遅延件数を比較して、効果のある方法を標準化します。

覚え方:計画、実行、確認、改善。

やっただけで終わらず、結果を確認して次の方法へつなげるのがポイントです。

要因の体系化|原因を筋道立てて整理する

起きた問題の原因候補を、関係が分かる形で整理することです。似た言葉を集めるだけでは、原因の抜けや関係の混乱が残ります。

例:納期遅延を「発注側」「取引先」「輸送」などに分け、情報不足、能力不足、配送遅延を整理します。

覚え方:似ているかより、抜けていないか・筋が通るか。

原因整理では網羅性や論理性が大切です。類似性でまとめる手法もあるため、「似たものをまとめるのは常に誤り」とは覚えません。

BSC|数字を4つの視点で見る

バランス・スコアカード。戦略を、財務・顧客・内部プロセス・学習と成長の4視点で目標や指標へ落とし込みます。

例:コストだけでなく、社内利用者の満足、購買処理の時間、担当者のスキル向上も確認します。

覚え方:お金、お客さん、仕事の流れ、人の成長。

3.設計と製品情報

デザインレビュー(DR)|設計の節目で確かめる

関係者が設計内容を確認し、品質、作りやすさ、コストなどの問題を早めに見つける活動です。

例:設計図を見て、技術・品質・生産・購買が、必要性能や調達可能性を確認します。

覚え方:設計をみんなで確認し、宿題を閉じる。

確認漏れにはチェックリスト。指摘がやりっぱなしになる問題には、担当者・期限・対応結果・完了確認を持つ課題管理表が役立ちます。

3D-CAD|立体で設計する

コンピューター上で、製品や部品の形を立体として設計する仕組みです。

例:部品同士がぶつからないか、組み付ける場所があるかをモデルで確認します。

覚え方:3D-CADは、立体を描く。

PDM|製品の情報を管理する

Product Data Management。図面、部品構成、改訂履歴など、製品に関するデータを管理します。

例:図面の旧版と最新版を区別し、誰がいつ変更したかを追えるようにします。

覚え方:CADは描く。PDMはデータを管理。

セカンドルックVE|既存品をもう一度見直す

すでに設計・生産している製品について、必要な機能を確保しながら、より経済的な方法を考えるVEです。

例:専用の金具を標準品に変えられないか、組立部品を減らせないかを検討します。

覚え方:できた製品を、もう一度見る。

単なる値引き交渉ではなく、必要な機能と実現方法を見直します。

VRのF・V・Cコスト|機能・種類・管理

製品の種類や複雑さによって生じるコストを分けて見る考え方です。Fは仕様・機能・構造、Vは部品・工程の種類、Cはそれらを扱う管理に着目します。

例:過剰な性能を求める=F。似た部品の種類が増える=V。増えた部品の発注・在庫・図面管理の手間=C。

覚え方:F=機能、V=種類、C=管理。

VEで使う「価値V=機能F÷コストC」とは、文字が同じでも文脈が異なります。

仮想カタログ法|作る前に、使う価値を伝える

まだ開発していない製品やサービスをカタログの形にして、顧客にとっての価値や必要性を検証する方法です。

例:新しい点検サービスの使い方やメリットをカタログにし、現場の人に「本当に使いたいか」を聞きます。

覚え方:先にカタログ、顧客の反応、開発の課題。

4.調達・物流と取引

調達領域|物だけでなくサービスも対象

購買・調達の対象には、原材料・部品に加え、設備、備品、物流、ソフトウェア、業務委託などもあります。

例:工場設備を買う、PCをそろえる、清掃業務を委託する、システム開発を発注する。

覚え方:会社が外から手に入れる、物とサービス。

単金法|単価と作業量で費用を考える

ソフトウェア開発などで、作業者の単価と必要な工数を使って費用を見積もる考え方です。

例:80万円/人月×3人月=240万円。これは作業費の計算例で、別途費用の有無は見積条件を確認します。

覚え方:いくらの人が、どれだけ働くか。

単価の安さだけでなく、工数の根拠、担当者の技能、成果物の範囲も確認します。3人月は、3人で必ず1か月で終わるという意味ではありません。

ABC在庫管理|重要度に合わせて管理を変える

年間使用金額などを基準に、品目をA・B・Cに分け、管理の手間を配分する方法です。

例:金額の大きなA品目は重点管理。金額の小さなC品目は、発注や管理の手間を抑える運用を検討します。

覚え方:Aは重点、Cは簡便。

C品目では、在庫が発注点に達したら決まった量を注文する定量発注方式が典型例です。ただし、安価でも欠品すると生産が止まる部品は重要。在庫のABC分類とサプライヤーのABC分類は分けます。

オンライン取引規定|電子取引の共通ルール

発注、受注確認、納期回答などを電子システムで行う際のルールです。発注側だけでなく、利用するサプライヤーとも運用をそろえます。

例:注文データを受け取ったらいつまでに回答するか、システム障害時にどう連絡するかを定めます。

覚え方:画面でやり取りするための、双方の約束。

全取引を必ずオンラインにするという意味ではなく、電子取引を運用するための取り決めです。

モーダルシフト|長距離輸送を鉄道・船へ

トラック中心の貨物輸送を、環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へ転換することです。

例:工場から港まではトラック、長距離区間は船、到着港から納入先までは再びトラック。

覚え方:長い距離は、鉄道・船へ。

輸送日数、出発時刻、積み替え、荷姿なども確認して選びます。

ISO/IEC 27001|情報を守る管理の仕組み

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の要求事項を定める国際規格です。情報の機密性・完全性・可用性などを、リスクに応じて管理します。

例:契約情報を誰が見られるか、変更履歴をどう残すか、障害時にどう復旧するかを整えます。

覚え方:秘密を守る、正しさを守る、使える状態を守る。

認証があるから事故が絶対に起きない、という意味ではありません。

有効求人倍率|1人あたり何人分の求人があるか

有効求人数を有効求職者数で割った数値です。

例:求人数150人分、求職者100人なら、150÷100=1.5倍。

覚え方:人が分母。1人あたりの仕事の数。

派遣や委託などの人材調達を考える際にも、労働市場の状況を見る手掛かりになります。

まず覚えたい5つ

①時間÷個数=1個あたりの時間。
②設備ロスは、止まる・遅い・良品にならない。
③DRは指摘して終わらず、担当・期限・完了まで追う。
④単金法は、単価×工数。
⑤ABCは重要度で管理を変える。

あわせて読みたい

購買ボキャブラリー|インコタームズ
購買ボキャブラリー|RoHS
セル生産とライン生産の違い

参考資料

Lean Enterprise Institute:Takt Time(必要量から生産ペースを求める考え方)

日本プラントメンテナンス協会:TPM(設備ロスを減らす考え方)

日本科学技術連盟:QCストーリー・QC手法(管理図・チェックシートなど)

IPA:ソフトウェア開発見積りの基本的な考え方(工数と見積り)

日本能率協会:技術の事業化入門セミナー(仮想カタログ法と顧客価値の検証)

国土交通省:モーダルシフトとは

ISO:ISO/IEC 27001

大阪労働局:職業紹介関係の用語と計算方法

筆者のCPP学習をきっかけに、用語の基本を整理した記事です。CPPの公式教材・公式解説ではありません。分類名や計算の前提は、使用している教材・設問の条件も確認してください。

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