購買ボキャブラリー|F・EコストとVRIのF・V・Cコスト

上段に使用機能Fと貴重機能E、下段にVRIの仕様・機能・構造F、種類V、管理Cを別枠で比較した鉛筆スケッチ。 購買ボキャブラリー

「使用機能はFコスト。でもVRIにもFコストが出てくる。どう違うの?」

Fが両方に出てくるので、混同しやすいところです。まず、F・Eは「どんな働きのための費用か」、VRIのF・V・Cは「何が費用を発生させるか」という、分類の観点の違いを押さえましょう。同じ腕時計を使って説明します。

そもそも、誰がどこで使う用語?

使用機能・貴重機能は、VE(バリューエンジニアリング)で製品の働きを分析するときの用語です。商品企画、設計、購買、製造などの関係者が、顧客が求める働きと、その実現にかかる費用を検討するときに使います。VEは、機能とコストの関係から価値の向上を図る手法です。[1]

一方、ここで扱うVRIのF・V・Cは、製品仕様や部品・工程の種類、その管理によって発生するコストを整理する用語です。設計、生産技術、購買、生産管理などが、仕様の適正化や部品の共通化を考える場面に結び付けると理解しやすくなります。公開資料では、F・V・C分類はVRPやモジュラーデザインの文脈でも説明されています。本記事は提供された教材の表記に合わせ、VRIと記載します。[3]

使用機能と貴重機能を腕時計で考える

使用機能:製品を使うための働き

腕時計なら「時間を知らせる」が使用機能です。出発する時刻や待ち合わせまでの時間を確認できる。時計を使う目的を果たす働き、と考えると分かりやすいでしょう。

貴重機能:欲しい、持っていたいと感じさせる働き

同じ腕時計を見て「このデザインが好き」「身に着けるとうれしい」「所有していることに満足する」と感じることがあります。こうした美しさや所有する満足感など、製品を欲しいと感じさせる働きが貴重機能です。

「貴重」は、単に「重要」という意味ではありません。時間を知らせることが非常に重要でも、それだけで貴重機能に分類するわけではありません。日本VE協会の公開論文要旨でも、使用を目的とする働きと、色彩・形状などで顧客の欲求を刺激する働きが区別されています。[2]

同じ腕時計で、時刻を確認する使用機能はFコスト、デザインや所有する満足を感じる貴重機能はEコストと示した鉛筆スケッチ。
使うF、欲しくなるE

FコストとEコスト:どの機能に対応する費用か

今回の復習では、使用機能に対応する費用をFコスト、貴重機能に対応する費用をEコストとして整理します。

腕時計で時間を知らせる働きを実現する費用はFコストとして考えます。一方、外観の美しさや、所有している満足感を生み出す働きに対応する費用はEコストとして考えます。

Eコストを「見栄えの費用」とだけ覚えると、所有する誇りや満足に関する問題で迷います。見栄えは貴重機能の一例。対応する相手は「貴重機能」です。

ただし、部品単位で機械的に分けられるとは限りません。文字盤は時刻の読み取りやすさにも、デザインの魅力にも関わります。実務で金額を分析する場合は、どの機能への寄与を評価しているかを定める必要があります。「文字盤だから全部E」とは決めないようにしましょう。

英字の由来について:今回確認した信頼できる公開資料では、このF・E分類の略称を直接裏付ける説明を確認できませんでした。そのため「F=Function、E=Esteem」という語源は断定せず、機能とコストの対応で覚える構成にしています。

VRIのF・V・C:何に起因してコストが発生するか

Fコスト:仕様・機能・構造に起因するコスト

どのような性能を持たせ、どのような構造で実現するかによって発生するコストです。腕時計なら、非常に高い精度、複雑な機構、高い耐水性能などの仕様によって、材料や加工、組立にかかる費用が変わります。

例えば、日常生活用なのに顧客が必要としない極端な性能を付けているなら、仕様を見直す余地があります。Fコスト自体が「無駄な費用」という意味ではなく、過剰な仕様はその改善対象の一例です。

Vコスト:部品や工程の種類に起因するコスト

時計のモデルごとに似たねじを別仕様にし、部品や加工工程の種類が増えると、種類ごとの金型、治具、段取りなどが必要になります。これがVコストを考える場面です。

「ねじを100個使う」という数量の多さと、「ねじが20種類ある」という種類の多さは別です。種類が多いことで生じる費用に着目します。

Cコスト:生み出された部品や工程の管理に起因するコスト

部品が増えると、品番の登録、発注、在庫の確認、図面や変更履歴の管理などの手間も増えます。腕時計のねじを品番ごとに発注し、保管場所や在庫数を確認する仕事の費用が、Cコストの例です。

Vは「種類があるための金型・段取りなど」、Cは「その種類を管理する仕事」と整理すると区別しやすくなります。部品共通化は、種類そのものと管理の手間の両方に影響することがあります。F・V・Cの基本的な意味と例は、モジュラーデザイン研究会の公開用語集でも確認できます。[3]

上段に使用機能Fと貴重機能E、下段にVRIの仕様・機能・構造F、種類V、管理Cを別枠で比較した鉛筆スケッチ。
同じFでも、分類の観点が違う

二つの分類を並べて比較

比較する点 使用機能/貴重機能のF・E VRIのF・V・C
分類の観点 どんな働きのための費用か 何に起因する費用か
Fコスト 使用機能に対応する費用 仕様・機能・構造に起因する費用
Eコスト 貴重機能に対応する費用 この3分類には含めない
Vコスト この2分類には含めない 部品・工程の種類に起因する費用
Cコスト この2分類には含めない 生み出された部品・工程の管理に起因する費用
腕時計の例 時刻を知らせる/デザインや所有する満足 過剰な仕様/部品種類の多さ/管理の手間
覚え方 使うF、欲しくなるE VRIは仕様F、種類V、管理C

F・E・V・Cを一つの分類として並べないことが大切です。同じ時計の外装も、魅力を生む働きとの対応を問えばE、仕様・構造による費用の発生を問えばVRIのFというように、分析する観点が変わります。二つのFは同じ範囲を意味するものではありません。

試験での見分け方

  1. まず問題が使っている分類を読む。「使用機能・貴重機能」ならF・E。「VRI」「仕様・機能・構造」「種類」「管理」ならF・V・Cで考えます。
  2. 次に、説明されている働きや原因を読む。使用するための働きはF、欲しいと感じさせる働きはE。VRIでは仕様はF、種類はV、管理はCです。
  3. Fという文字だけで判断しない。問題の文脈とセットで選びます。

使うF、欲しくなるE
VRIは仕様F、種類V、管理C

確認問題3問

掲載教材の学習テーマに沿った、この記事独自の確認問題です。教材の問題文を転載したものではありません。

第1問:貴重機能に対応するコスト

使用機能・貴重機能の分類において、腕時計を所有している満足感を生み出す働きに対応するコストはどれでしょう。

A. Fコスト B. Eコスト C. Vコスト D. Cコスト

正解と各選択肢の解説

正解:B

  • A:このF・E分類では使用機能に対応します。
  • B:所有する満足感は貴重機能であり、Eコストに対応します。
  • C:VRIでは部品・工程の種類に起因するコストです。今回は分類の観点が異なります。
  • D:VRIでは部品・工程の管理に起因するコストです。所有する満足とは区別します。

第2問:VRIのFコスト

VRIの分類で、顧客の用途に対して過剰な精度や複雑な機構を採用したことに起因するコストはどれでしょう。

A. Eコスト B. Vコスト C. Fコスト D. Cコスト

正解と各選択肢の解説

正解:C

  • A:Eは貴重機能との対応を考えるF・E分類の用語です。
  • B:種類が増えたことに起因するコストです。この問題は仕様・機構に着目しています。
  • C:精度や機構は仕様・機能・構造の話なので、VRIのFコストです。
  • D:品番や発注、在庫などを管理する仕事に起因するコストです。

第3問:VコストとCコスト

時計のモデルごとに異なる部品を採用した結果、①種類ごとの金型・段取り費と、②品番ごとの発注・在庫管理の費用が増えました。VRIでの組み合わせとして適切なのはどれでしょう。

A. ①V・②C B. ①C・②V C. ①F・②C D. ①V・②E

正解と各選択肢の解説

正解:A

  • A:①は種類に起因するV、②は管理に起因するCです。
  • B:種類と管理の対応が逆です。
  • C:金型・段取り費を「種類ごとに増えた」という原因で問うため、①はVです。
  • D:②は管理のCです。貴重機能に対応するEを混ぜません。

購買の仕事に結び付けて覚える

見積りが高いとき、「どんな働きのための費用なのか」を考えるのがF・Eの理解につながります。一方、「仕様が過剰なのか、部品の種類が多いのか、管理の仕事が増えているのか」を整理するのがF・V・Cの理解につながります。

値下げだけを依頼する前に、設計や生産部門と仕様・共通化の余地を確認する。そんな実務の場面を思い浮かべると、記号と意味が結び付きやすくなります。

参照資料と確認範囲

  • 提供された想定問題の写真:VRIの仕様・機能・構造とFコスト、管理とCコストの対応を写真で確認。F・Eの対応は依頼内容および提供済み復習記録に基づき整理しています。今回読み取れた写真からはF・Eの該当箇所を直接確認できなかったため、教材名・ページ番号は記載していません。
  • [1]日本バリューエンジニアリング協会「VEとは」:VEの定義と適用分野。
  • [2]同協会「感性機能における機能定義の研究」:公開要旨の使用機能・貴重機能の説明。論文全文は参照していません。
  • [3]モジュラーデザイン研究会「モジュラーデザイン用語集」:F・V・Cコストの定義と費用例。VRIという略称の正式展開は、今回確認した公開資料では裏付けられないため掲載していません。

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